こんにちは。比類なきチャレンジール人、イケダです。
今日はとある小説の話について執筆します。
百田尚樹氏の『海賊とよばれた男』(講談社)が大変なベストセラーになりましたが、
皆さんご存じでしょうか。
この経済歴史小説の主人公・国岡鐵造のモデルは出光佐三氏という人物です。
彼は大成功を収めた経営者でしたが、
そこで説かれているのは常に形而上的な観念論であって、まるで哲学者のようだったそうです。
96年間の生涯の中で、出光佐三氏は自社の社員に「金を儲けよ」とは一度も言ったことはありません。
その代わりに「人を愛せよ」と言いました。
そして、
「人間を尊重せよ」と言いました。
新入社員の入社式で、出光佐三は次のような訓示を行いました。
「出光は事業会社でありますが、
組織や規則等に制約されて、人が働かされている類の大会社とは違っているのであります。
出光は創業以来、『人間尊重』を社是として、お互いが練磨して来た道場であります。
諸君はこの人間尊重という一つの道場に入ったのであります」
とても実業家の言葉とは思えませんが、出光佐三氏は生涯そんな言葉ばかり吐き続けました。
それなのに、事業経営でも希代の成功者となった事実には考えさせられます。
「人間尊重」という考え方は、2500年前の古代中国で重視されました。
孔子が説いた「礼」こそは、「人間尊重」の思想そのものなのです。
今、社内勉強会で学んでいる陽明学者の安岡正篤氏も、
「本当の人間尊重は礼をすることだ」と述べましたが、
最後に、出光佐三氏は「石油業は、人間尊重の実体をあらわすための手段にすぎず」と言いました。
社会が「人間尊重」に溢れ、
差別・偏見のない、全員がフラットな視点を持てる世の中になることを社業を通じて行っていきたい。
そう思うイケダでした。