俺も家計簿つけてるよ!
この間、家計簿をつけていることを記事にしました。
その記事を読んだ友人がこんなことを言ってきました。
「俺も昔から家計簿つけてるよ」
彼は小さい時からご両親に言われて家計簿をつけていたそうです。
いつから始めたかというと、小学1年生の時から。
お菓子を買ったら記入して、ゲームを買ったら記入して、電車に乗ったらまた記入。
当時はもちろんアプリなんてありませんから、全て紙に書いて記録していたとのこと。
小さな時からこんなめんどくさい丁寧な作業をしていたのだから、さぞ仕事も丁寧なやつと思いますよね。
けど、実際のところはそこまで丁寧はありません。普通の人よりちょっと丁寧なくらい。
もう少し詳しく話を聞いてみると、家計簿をつけるのは本当は好きじゃなかったそう。無理矢理やらされていたんだと。
なんでも「家計簿をつけなかったらお小遣いがもらえない」ルールがあり、その上に
「もし家計簿の数字が合わなかったら、その場合もお小遣いがもらえない」というルールもあったとのこと。
だから家計簿を記録するときは必死です。だってお小遣いがもらえなくなるかもしれないんですもん。
1月頑張って働いた給料が、たった1つのミスでもらえないなんてことになったら、誰だってたまらないですよね?
けど、考えてみてください。本当にミスを1回もしないなんてできますか?
どれだけミスをしないように注意したとしても。
数字が合わない時、どうする?
彼も、2、3ヶ月に一回くらい、どうしても数字が合わない時があったんです。
お金を落としたのか、お釣りをもらい間違えたのかわからない。そもそもわかったら苦労しない。でも、このままだったらお小遣いがもらえない。
じゃあ、どうするか。彼はこうしました。
「使ったお金、もしくは今あるお金の方を合わせる」
要するに、金額を変えて帳簿上の数字を合わせたということです。
これをすることで、彼はお小遣いなしのペナルティを免れていた訳です。
レシートなどをしっかり取っていたら、こういうことはなかったかもしれません。
もしくは、彼がもっと徹底的にお金をチェックしていてもよかったかもしれません。
悪いのは彼のように思えます。でも、これルールに問題があるんです。
インセンティブにはマイナスも
「〇〇ができなかったら罰金、ペナルティ」
こういうルールのことをマイナスインセンティブと言います。
インセンティブの意味は「目標を達成するための刺激。誘因。」
一般的なイメージは「目標達成したらもらえる特別金」というプラスな感じですが
「失敗したら与えられるペナルティ」というマイナスの場合もあるんです。
怒られたくない、、、
給料を減らされたくない、、、
みんなの前で怒鳴られて恥をかきたくない、、、
こういうマイナスの感情も頑張るモチベーションになることがあります。
「老後に苦労したくないから若いうちに頑張ってお金を稼ぐ」という感じです。
ただ、このマイナスインセンティブは、あまりにも厳しすぎると逆効果です。
それが、今回の友人のような例です。
「お小遣いがもらえないくらいなら、嘘をついた方がまし」と思うようになるのです。
今持っているものを失うくらいなら、人間はルールに反することだってやれます。不正だなんて思わない。
もちろん、これは彼が子供の頃の話です。
でも彼をバカにできる大人がどれだけいるでしょう。
・誰もが知っている大手企業で粉飾決算が発覚した。
・日本を代表する車メーカーでリコール隠しがあった。
こんなことがニュースになるたびに、そこで不正を働いてしまった人がどんな気持ちでやっていたのか考えてしまいます。
ミスをするのは本人が悪い、隠すのも本人が悪い。
でも、「ミスを隠した方がまし」と思わせてしまうのは制度が悪い。
そういう「人を悪人にする制度」がいまだに多くの企業に存在するのもまた事実です。
人事として、スタッフが納得できる制度を作っていきたいものです。