こんにちは。比類なきチャレンジール人、人事部・池田です。
コロナ自粛解禁後の現在
皆さんもご存じの通り、5月25日に緊急事態宣言が全面的に解除されました。
しかし、日本の雇用情勢の悪化は、まさにこれから本格化していくのです。
その中で、「隠れ休業者」の救済が早急の政策課題になると予測されています。
日本とアメリカの雇用情勢の違いにレイオフ(一時帰休)制度
米国労働省が6月5日に発表した5月分雇用統計は、事前の悪化予想に反して改善し、
コロナショックで急激に米国の経済状況が悪化しました。
非農業部門雇用者数は前月比250万9000人増加し、
失業率は1948年の統計開始以来で最高値を記録した4月の14.7%から、13.3%へと低下しました。
統計開始前から、さらなる雇用者数の減少と失業率の上昇が予想されていました。
ところで日本では、
アメリカのように雇用情勢が急激な悪化から一気に改善するというようなことはほぼありえません。
アメリカで就業者と失業者との間の入れ替えが急速に起こるのは、
レイオフ(一時帰休)制度があるためです。
自動車などの製造業には、経営環境が改善した際に再雇用することを前提にした解雇の慣例があります。
レイオフされた労働者は失業保険を申請して失業者となりますが、
職探しをすることなく、同じ企業に再雇用されることを待つケースが多い、と。
更に、
企業にとっては、経営状況が悪化する際に従業員を一時的に失業者とし、
失業手当という公的支援を受けてもらいます。
そして経営状況が改善すれば、新たに求人活動をすることなく、レイオフされた人を再雇用します。
つまりアメリカで労働市場がダイナミックに変化する理由の一つということがいえます。
日本、休業制度に注目
ところが日本では、
再雇用を前提にして解雇された人には、原則、失業手当を受給する資格が与えられません。
あくまでも職を完全に失い、なおかつ働く意志があって求職活動をしている人が、失業手当を受給することができ、失業者となるのです。
アメリカでのレイオフ制度に近いのは、日本では休業制度と言えるのかもしれません。
自宅待機を命じられ、企業から休業手当を受け取る休業者の数は、
4月に597万人と、前月から350万人近くも急増しました。
日本の失業率のピーク
こうした会社都合での休業者は、つまりは失業予備軍ともなるのです。
会社が休業手当を払い続ける余裕がなくなる、あるいは会社が倒産や廃業となれば、休業者らは失業者となってしまいます。
経済危機の下でも企業は何とか経営を維持しようとしますが、厳しい経済情勢が続けば、
いよいよ持ちこたえることができなくなり、倒産あるいは廃業となります。
倒産・廃業というわけではありませんが、
最近もニュースで某タクシー会社が600人一斉解雇などのニュースもありましたね。
しばしば、経済情勢が悪化し、時間差を持って生じるものです。
このように、日本では雇用情勢の変化は、景気情勢の変化に遅れて生じやすいのです。
仮に日本経済が現在、コロナ大恐慌期を過ぎて最悪の状況だとしても、
急回復するようなことがない限り、雇用情勢の悪化傾向はなお続き、失業率がピークを付けるのは来年前半になると思われます。
その時の失業率は、6%程度に達することも予想されます。
深刻化する「隠れ休業者」問題
企業との雇用契約は維持されながらも休業者とはなっていない、いわば「隠れ休業者」が存在します。
「隠れ休業者」は自宅待機を求められて休業状態にありますが、企業からの休業手当も失業手当もどちらも受け取れないのです。
労働基準法は、景気悪化、経営悪化など会社側の都合で従業員を休業させる場合には、平均給与の6割以上を支払うことを企業に義務付けていますが、実際には、休業手当が支払われていない「隠れ休業者」が相当数存在します。
経営環境が厳しい中、休業手当を支払う余裕がない、あるいは支払うと企業が資金繰りに行き詰って倒産してしまうリスクがある、といったケースもあるのでしょう。
隠れ休業者、休業者、失業者。
今仕事に着手できていない人もいれば、
コロナウイルスの状況でも在宅や出社で仕事が出来ている人もいる。
「働ける」ことが当たり前ではないのです。
他のことにも言えることですが、
今あるあなたのそばにある「当たり前」も当たり前ではありません。
今ある環境に感謝しながら、有難さを実感しながら物事に取り組んでいきたいですね。